208550 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

あいすまん

あいすまん

3分詩人クッキング!

3分詩人クッキング!
第二回 岡耕秋『バウム・テスト』 & 君も詩人デビュウ!その①~

詩人:岡 耕秋(おか やすあき)
   (長崎県・1933~)
詩集:『バウム・テスト』
発行:2001年8月1日
出版:土曜美術社出版販売
価格:2000円
入手:県内大手書店(出版元が大きいので取り寄せも恐らく可)

前回「沖縄の詩人」と言っておいてなんであるが、今回は長崎県諌早市で詩とエッセイの同人誌『千年樹』を発行する詩人、岡耕秋氏の『バウム・テスト』。この詩人の拠点は沖縄ではないけれど、長寿県沖縄、環境破壊の進む沖縄で生活する者にとって示唆深いものであるので、ぜひ読んで欲しい詩集だ。
不気味な〈黒い鳥〉の鳴き声が死を生々しく描いている「黒い鳥」や、無残な姿で消えゆく干潟の穏やかな死を、静かな怒りで描いているような「ひがたの海」。〈鳥〉のたとえで痴呆老人の姿をリアルにかつ敬意を持って描いている「鳥」など、生と死、老いのリアリティを感じさせてくれる二十九篇。医師として臨終に立会い、また自らも死に直面した経験をもつ岡氏の言葉の重みに圧倒される。
なかでも「故郷」で描かれている、自分の故郷さえ遠いものとなってしまって立ち尽くす老人の〈喪失の哀しみと苦しみ〉の姿は衝撃的。〈見覚えのない〉町は、故郷であるはずの町。〈老人〉の喪失を、読んでいるわたしにも疑似体験させてくれるような作品だった。まだ二十二年しか生きていないわたしには、老いに直面した人の気持ちはわからない。しかしこの詩を読んで訪れたリアルな喪失感に重ねて、老いの気持ちを想像することができた。
『バウム・テスト』に言葉で表された老いの姿を通して、老いに直面した方々の心境を少し理解できたような気がした。同時に、描かれている生と死の狭間から、死について考えることができ、翻って生についても考えさせられる詩集であった。たかだか二〇代で寿命が迫ってくる実感など感じられるはずがない。しかし未知の領域に切り込むには、他人の実感を通した疑似体験を足がかりにするのが最も確実な道であると思う。視野を広げるという意味で、オススメです。一読あれ。


超実用企画!
君も詩人デビュウ!
その① 投稿して詩人!

前回、今回と詩集を読めと言われても面倒臭いよコンチクショウ!と思っていた方々のニーズにお応えして、手っ取り早く詩人(自称)になれる方法を伝授!デンジュ!電波受信!というかんじでレクチャーその①。勝手に自称すれば詩書かなくても詩人なのだが、それじゃ元も子もないしレクチャーする意味もないじゃんじゃあ死ねと思った貴方!その通りであり、元も子もある具体的な方法としては、まず詩を書く。糞も味噌もごちゃまぜでいいからとりあえずあなた方の枯渇した脳からひねり出します。そしてひねり出した糞や味噌のレベルを向上させたいという気概の持ち主は投稿します。気概の持ち合わせがないよって人は順序すっ飛ばして詩集を出します。(詩集は次回のテーマなのでそういう人は今回は読み飛ばしてね)というわけで詩集を出したら詩人の方々に郵送し、賞への応募とステップアップ。以上のことを繰り返す頃にはあなたは立派に詩人という肩書を自称していることでしょう。職業としての肩書に高めるには谷川俊太郎級の実績を残して下さい。
さて今回は第一段階、詩を書く方法。
そもそも詩の書き方自体わからないという方は、自分であみ出してください。無理だよってワガママな方は新聞社主催のカルチャーセンターや講座などに参加するとよいでしょう。そんな金ないよってさらにワガママな方にはわたしの昔の詩作の方法をお教えします。
①自画像を言葉で書く。いいところは書いても仕方がないので、日々目を背けがちな悪いところに焦点を当て、嘘偽りなく正直に告白します。時には罵っても構いませんが、弁解や謝罪の言葉は要りません。この段階で人に見せてはいけません。②「てにをは」を省く。意味がわからなくなるまで省いてはいけません。なくても文意が伝わる「てにをは」は意外に多いものです。③倒置と体言止めを使う。主語と述語をひっくり返すと結構決まるものです。組み合わせてもなお。
以上で「詩らしきもの」は出来上がるはずです。方法なんて何でもいいのです。わたしの場合はできました。①の部分を自画像でなく過去の出来事などにしたり、③で韻を踏んでもよいでしょう。あとは投稿したりして他人にみてもらいましょう。また、好きな詩人やミュージシャンがいればそれらの詩や歌詞を真似てみるのが近道かもしれません。
では本題、投稿について。
郷土紙「琉球新報」に「琉球詩壇」(詩の投稿欄)が月一で連載されていたのも今は昔、現在は詩一篇単位で選考してもらい、評を得るには新聞では無理。そこで、インターネットに接続できる環境にある方は詩の投稿サイトへの投稿をオススメ。しかしそこは選び所。ランダムに発見したサイトの管理者と投稿と感想のコミュニケーションで相互批評の関係を形成することも可能ですが、その人が詩を見る目があるかどうかは博打もの。かといって大手投稿サイトは感想がつかない場合がある。中庸を見極めて投稿してください。同じ詩を色んな所に絨毯爆撃方式で投稿するのも良いかも。しかしその場合は二重投稿が禁止されていないサイトに限られるが。
選ぶのが難儀だよもしくは選べないよって方は、詩の専門誌への投稿をオススメ。ある程度名のある方々が選考してくれるので掲載されればたいへん参考になる評がつきますが、結果がわかるまでに一ヶ月程度時間を要するのと、掲載されるレベルまでは自分で到達せねばならないというのが難点。『詩と思想』(土曜美術社・月刊)『詩学』(詩学社・月刊)『ユリイカ』(青土社・月刊)『現代詩手帖』(思潮社・月刊)などが有名。四誌とも国際通りの球陽堂やパレットくもじ7階の文教図書、宮脇書店など大手書店なら普通に売ってます。あと県内で入手するには直接購読しかないのですが親切に評してくれる投稿欄がある詩誌も。『抒情文芸』(抒情文芸刊行会・季刊)は投稿がメインといっていいほど充実しており、選者の清水哲男はどこぞの選者のようなどうでもいい持論を展開して体よく逃げたりせず、二〇数篇を選出しそのうち八篇に二〇〇~四〇〇字にも及ぶ評を付しています。『Lyric Jungle』(りりじゃん社)は投稿コーナー「ぷち☆りり」で、選出された五作品に対する編集者らによる合評会が掲載されています。掲載倍率がわかるように応募総数が明記されているのも親切。
サイト選べないし名のある方々に選ばれる自信もないんだうえ~ん(涙涙)というワガママなあなたは、沖国大文芸部HPの投稿掲示板へ。わたしが評します。あわよくば『あいすまん』や『沖国大文学』掲載も。以上の宛て先などはこのコーナーの末尾を参照してね。
というふうに投稿を繰り返し、作品の質に自身が持てるようになって作品数もたまってきたら、詩集を作りましょう。というわけで次回は詩集の作り方。今回は御披楽喜。
※投稿の方法
☆『詩と思想』『詩学』『ユリイカ』『現代詩手帖』の四誌は書店で購入のうえ投稿規定を参照のこと。
☆『抒情文芸』・・・〒一六七―〇〇三四 東京都杉並区桃井一―三〇―二 「抒情文芸」刊行会編集部 へ『抒情文芸』を請求のうえ投稿規定を参照のこと。購読は原則として年間購読で、送金は現金書留か郵便振替口座で四〇八〇円(送料共・四回分)らしい。
☆『Lyric Jungle』・・・〒五六一―〇八七二 大阪府豊中市寺内一‐十二‐三〇‐三〇三 りりじゃん編集部 へ冊数と号数を明記して請求のうえ投稿規定を参照のこと。支払方法などは折り返し連絡があるらしい。
☆沖国大文芸部HP投稿掲示板
沖縄国際大学文芸部公式ホームページ「Amp!」(http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Labo/8518)「enter」→「投稿掲示板」




© Rakuten Group, Inc.